夢の種類

夢はその内容や働きから、いくつかの種類に分けられます。夢の種類を頭に入れておくと、夢の解釈をするときの助けになります。そこで主要なものをいくつかあげておきましょう。

現在夢

もっとも多い夢が現在夢といわれるものです。この中にはあなたの体の状態や心の状態をそのまま表わしている夢も多く、それらの夢はとくに解釈するまでもありません。

風邪をひいて体調の悪いときには悪夢を見る傾向がありますし、膀胱に小便がたまるとトイレを探す夢を見たりします。

これらの夢は、体の状態が脳に影響を与えて、それが夢の内容に影響を与えたのだと考えることができます。

ただ、ときどき体の重篤な状態を知らせてくれる夢もあります。フロイトは「夢判断」という著書の中で、そのような例をいくつか紹介しています。

これらの夢はいわば「内臓夢」とでもいえるものです。内臓の不調が夢に現われたものです。

このほか、「喜び」「悲しみ」「怒り」「恐れ」「悩み」など、人間のもつさまざまな感情を表わします。

喜びの夢は、プラス思考の人がよく見る夢です。人生を前向きに生きていて、小さなことにクヨクヨしません。日常生活そのままのような夢で、とくに夢解釈をする必要もありません。夢の中で見たことを、実際に行なってしまう人もいます。

また悲しみの夢は、マイナス志向の人が見ます。

怒りや恐れ、悩みなども現実の生活を反映して夢の中に登場しています。自分でも気づいていなかった感情が、夢の内容を調べることでわかるのです。

このように、現在夢にもいくつかの種類がありますが、その中でも「願望夢」と「不安夢」が代表格ですので、もう少し詳しく説明いたしましょう。

願望夢

フロイトは、ふだん思っていてもなかなか満たされない望みや、社会通念などによって抑圧されている願望が、夢に現われるのだと考えました。これが、夢のもっともシンプルな形で、もっとも多いものです。

ただ、その内容はかなり変形しているので、夢の解釈をして、どのような願望が自分の心の底に眠っているのかを探さなければなりません。

人間は大人になるにしたがって、さまざまな願望を捨てていきます。子供のころは宇宙飛行士になりたいとか、Jリーグの選手になりたいとか、いろいろ望みをもつものですが、少しずつ自分の能力や実力、社会的環境に気づくようになり、それらの望みを諦めていきます。

また、とても好きな人がいても、なかなか告白できなかったり、欲しいものがあってもお金がなくて買えなかったりします。

願望と現実の問には、超えることのできない橋が架かっていることを認めるようになります。

ですから、願望夢はどちらかというと比較的若い人が多く見る夢です。生きるのに忙しい人はあまり見なくなります。

また、願望夢は、タブーがあるところにも多く現われます。最近はタブーが少なくなっていますが、それでもまだいろいろなところにタブーがあります。

憎らしくて憎らしくてぶち殺したいヤツがいても、現実の世界では殺すところまでいきません。そういうときには、夢の中で疑似的に殺人をして、代償的に願望を満たしているのです。

ただ、その場合、直接的に殺人を犯すということは少ないものです。交通事故や病気などによって死ぬことが多いようです。

夢解釈には、自分でも意識していない自分の願望を知るという働きがあります。でも、実際問題として、自分の願望を知ったからといってどうにもならないこともあります。そういうときには、夢解釈ではなく、夢をコントロールする方法を身につけて、現実の自分を変えていくようにします。

不安夢

願望を表わす夢と同じくらいに多いのが不安夢です。願望夢が私たちの精神の陽(プラス)の面を代表するとすれば、不安夢は陰(マイナス)の面を代表しています。

人間を含めてすべての存在物にはプラスとマイナスがあります。プラスは一般にはよい面を、マイナスは悪い面を表わしますが、ときと場合によって変化します。

不安夢といっても必ずしも悪い面だけを表わすとは限りません。不安夢は現在のあなたが意識していない「不安」を表わしていますので、その夢を解釈することで、不安の源がわかり、よりよいライフにアップする方法を見いだすことができます。

不安夢の特徴は、色彩に乏しく、目覚めたあとの「後味」が悪いことです。「襲われる夢や「追いかけられる夢」も不安夢の仲間です。

不安というものはもともと漠然としたものが多いのですが、夢の中では「恐怖」というかたちで表われます。鋭い刃物を目の前に突きつけられたり、動物園の檻に閉じこめられて、その中にトラやライオンがいる、といったスタイルで不安を表わしています。

不安夢を見た場合はとくに先に述べましたように、だれかに話すことが大切です。 話すことによって、心の奥にあって、あなた自身も意識していない不安がやわらいできます。

過去夢

多くの人は乳幼児期のことを思い出せないのがふつうです。しかし、思い出せないだけで、記憶の小箱にはちゃんと保存されています。

記憶はあなたの履歴書です。あなたが経験したことや思ったことは、すべて残りくまなく書き込まれています。

ところが、記憶には思い出せるものと、思い出せないものがあります。思い出せる記憶はあなたが選択してきたもので、あなたの自我を形作っているものです。思い出せない記憶は、あなたが捨ててきたものです。

もし、あなたがいまある記憶とは別の記憶を選んでいたら、あなたはいまのあなたとはまったく別のあなたになっていたはずです。

乳幼児期の記憶が欠落しているのは、その時期が自我の未分化のときで、記憶を選択する自我がまだ形成されていないからです。経験したことはすべて鍵のかかった小箱の中にしまわれてしまいます。

ところが、その記憶の小箱の鍵が開くときがあります。どういうときかといいますと、あなたが人生の岐路に立っているときです。

生きていく途上には、さまざまな障害が立ちふさがっています。受験や就職、失恋の痛手、親しかった人との死別・生別などなど……。

それらの困難に遭遇すると、私たちの自我は激しく動揺します。いままで何の疑問も抱かずに生きてきて、突然不幸がやってくると、自我は支えを失い、バラバラに壊れてしまいます。

ジグソーパズルのようにバラバラに壊れてしまった自我をもう一度組み立て直すには、赤ちゃんのころの記憶が必要になってきます。

あなたが選んできた記憶だけでなく、あなたが捨ててきた記憶も必要になってきます。そういうときに過去夢を見ます。

予知夢

未来のことは何もわからないと思いがちですが、私たちはふつうの状態でもある程度末来のことを知ることができます。それは、未来というものが過去・現在という流れの前方にあるもので、過去や現在の状態から未来を予測したり推定したりできるからです。

ところが、ある種の夢の中には、そのような推定ではなく、かなりの確度をもって、未来の出来事を予言するものがあります。

これらは、人間が文明生活の過程で失ってしまった予知能力がまだ潜在意識の中に残っていて、夢の中に現われるのだと考えられます。

よくある例は、何か大事故が起こる前に、その事故の夢を見たので旅行を中止したり、別の飛行機に乗ったので助かったというものです。これは自分の死というもっとも深刻な事態を教えてくれた夢です。

人間を含めて、すべての生き物には自己保存本能と、種の保存本能があります。自分が死ぬ状態を避ける力はもっとも基本的なものです。ふだんは眠っている、その能力が夢の中で蘇るときがあるのです。

ですから、予知夢の多くは、未来の危険を知らせる夢だということができます。

予言夢

予言夢は予知夢の一つで、特に赤ちゃんの未来を告げる夢を表します。古い時代、聖職者や女性は夢の中で神と交信する能力を持っていたと言われています。特に女性は直観力に優れ、より簡単にその能カを使うことができたようです。

妊婦は胎児と意識がつながることができ、夢を通して子供の未来を知ることができるようです。ヒンドゥー神クリシュナの母は、将来彼が神になると夢の中で告げられたという言い伝えがあります。

聖母マリアも、夢を通じてイエスの神性を確信していたと言われています。その他、聖アウグスチヌスの母、イスラム教の開祖マホメットの母など、このような例は、歴史に数多く残されています。

現代の妊婦もまた、無意識領域で子供の情報を受け取っているようで、子供に起きる事柄に対してそれほど驚かないようです。また、普通の想像では思いもつかないような子供の未来を、夢で見ることもあるようです。

悪夢

不快な夢は、すべて悪夢と呼べるでしょう。悪夢の原因は大まかに六つに分類され、そのほとんどは幼児期に起因しています。物を失う夢や剥奪される夢は、夢主が出産時、難産だったことによるトラウマと結びついています。

攻撃されることへの恐怖と関連した夢は、内的欲求への不安やその夢と同じような状況から生じたものかも知れません。また、生きたいという欲求や衣食住を満たすこととも関連があるようです。幼い頃、これらの欲求を満たすことを妨害されたことに対する激しい怒りが、後に悪夢となります。

最近「PTSS」(心的外傷後ストレス症候群)の研究で、ある時期に受けた苦痛は何年も経ってから表面化すると報告されています。人間の脳は、心的ショックを完全に取り除くことはできないようです。

幼い頃に性的虐待を受けた人が見る悪夢も、このPTSSが原因となっています。幼い頃の生存欲求が、大人になってから、変化や成長への恐れとして表面化します。ほとんどの人は、この恐怖感を自覚することはありません。

悪夢の多くは、不吉な前兆として感じられます。人間は無意識に情報を拾い上げているようで、それが夢に現れると考えられます。これを予知夢ととらえる人も多いでしょう。死の恐怖が伴う重い病気が、悪夢の原因になることもあります。 このような場合は心理療法やカウンセリングが必要です。

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