伝統風水の古典である『八宅明鏡(はったくめいきょう)』は八卦五行から本命卦(人の運勢)と宅卦(家の運勢)を分類し、本命卦宅卦が適合していれば吉、不適合なら凶としています。人間関係に相性があるように、そこに住む人間と家にも相性の問題が出てくるのは、自然なことなのです。この章ではあなたの本命卦と住む家の宅卦をそれぞれ計算し、相性が良いのか悪いのかを診断していくことにしましょう。

あなたの本命卦を調べましょう

生まれた年にしたがって、人の運勢を八卦を用いて分類し八つのタイプに分類したものを本命卦と呼びます。 伝統風水を実践するためには、まず自分の本命卦が何かを知らなければなりません。

本命卦には、八卦を用いた呼び名がつけられていて、乾命(けんめい)・兌命(だめい)・離命(りめい)・震命(しんめい)・巽命(そんめい)・坎命(かんめい)・艮命(ごんめい)・坤命(こんめい)と分類されます。

本命卦は生まれた年を基準にして計算しますが、ここにひとつ問題があります。

一年の起点をいつと考えるかということです。おもに以下の三説がありますが、風水師によって意見が異なるのが現状です。当然、選択した説によって結果も異なってきます。

  1. 立春を一年の起点とする
  2. 小寒を一年の起点とする
  3. 旧正月を一年の起点とする

誕生日が1月や2月の方が自分の本命卦を調べた際に、サイトや書籍によって異なる結果に困惑することがあるのはこのためです。

当サイトでは、伝統風水で主流である①番の立春説を採用しています。

以下に本命卦の計算方法を示します。

本命卦の出し方

  1. あなたの生まれた年(西暦)の数から1901を引きます。
    ただし、立春以前に生まれた人は前年生まれと考えます。

  2. ①で得た数を9で割ります。

  3. その余りの数があなたの本命卦を決めます。
    ただし、割り切れて余りがない場合は、9とします。

  4. 下の本命卦表から、余りの数と一致する本命卦を探してください。

表A - 本命卦表
余り 1 2 3 4 5 6 7 8 9
男性
女性

ここでもうひとつ新たな問題が生じます。

「立春以前に生まれた人は前年生まれと考えます」とありますが、立春の日時は毎年変わるということです。

表Bは例として、1980年から1985年までの立春日時を抜粋したものですが、その年によって立春日時がまったく異なることがおわかりいただけると思います。

表B - 立春日時(1980年~1985年)
立春日時
1980年(昭和55)2月5日 01:10~
1981年(昭和56)2月4日 06:56~
1982年(昭和57)2月4日 12:46~
1983年(昭和58)2月4日 18:40~
1984年(昭和59)2月5日 00:19~
1985年(昭和60)2月4日 06:12~

この問題は、ほとんどの人にとっては関係のないことですが、2月4日および5日生まれの人にとってはたいへん重要なことです。

かといって、自分の生まれた年の立春日時をいちいち調べるのはたいへんです。そこで、本命卦を自動で計算してくれるプログラムを設けました。

本命卦を自動で計算してくれるプログラム

これは本命卦を自動で計算してくれるプログラムです。

出生日時と性別を選択するだけで、瞬時に本命卦が表示されます。

100年間(1920年から2020年まで)の正確な立春時間のデータ(分単位)が入っていますので、どのサイトや書籍で調べるよりも正確にあなたの本命卦を知ることができます。

あなたの吉凶方位を調べましょう

自分の本命卦がわかったら、方位の吉凶を見ていくことにしましょう。まず、あなたの本命卦の吉凶方位盤を見てください。どの本命卦も、八方位のうち4つは吉、残る4つは凶となります。

これを四吉方位四凶方位と呼び、それそれの吉凶の度合いに応じて、8段階(最大吉・大吉・中吉・小吉最大凶・大凶・中凶・小凶)にランク別けされています。

それから、吉方位凶方位の分かれ方をおおまかに見たとき、同じパターンを示す本命卦が、それぞれ4つずつあります。

そのなかで、吉方位が東側に集まっているグループ(坎・離・震・巽)を東四命(とうしめい)、西側に集まっているグループ(乾・兌・坤・艮)を西四命(さいしめい)と呼びます。

さらに吉凶方位盤をよく見ていくと、東四命西四命では、四吉方位四凶方位が正反対になっていることがわかります。

吉凶方位盤のそれぞれの方位に書かれている生気絶命…といった見慣れない用語は八遊星と呼ばれます。

本命卦の吉凶方位盤

東四命

西四命

八遊星の意味を理解しましょう

吉凶方位盤のそれぞれの方位に書かれている用語は、八遊星といい、生気(せいき)・天医(てんい)・延年(えんねん)・伏位(ふくい)が吉方位、絶命(ぜつめい)・五鬼(ごき)・六殺(ろくさつ)・禍害(かがい)が凶方位を表します。

八遊星には、それぞれに大きな特性があります。これは、各方位において、その人の本命卦によって、吉凶の強さが違ってくるということに加えて、おのおのが吉凶の意味を持っていることを示しています。

吉凶のランクは方位を選ぶときの目安にはなりますが、伝統風水では、八遊星の特性をよく理解して、自分がどのような状態になりたいのかをつかむことのほうが大切です。

吉方位

  • あなたの吉方位本命卦から求めましょう。
生気(せいき) / 最大吉方位
発展・行動・活力・創造・生産
「生気」はバイタリティを吹き込む最大の吉方位。ここにいれば、心身ともに気力が充実して、前向きな気持ちになれます。社交的になって、仕事や恋愛のチャンスにも恵まれるはず。また、性欲を高める効果もあるので、子宝に恵まれたい人には、強い味方になってくれます。ただし、精カが強くなって浮気性になることもあるので注意が必要です。生気方位には、玄関リビング書斎などがあると運気がアップするといえます。また、エネルギー補充にも適した方位ですが、寝室にするとパワーがみなぎりすぎてしまうので、注意が必要です。
天医(てんい) / 大吉方位
健康・長寿・学業・仕事・財産
「天医」は癒しの大吉方位。病気やケガの回復に大きなパワーを発揮します。ストレス解消にも役立つでしょう。悩みやトラブルを抱えている場合は、解決策を見出せるようになります。華やかさには欠けますが、地道に努力してきたことは必ず実を結びます。思わぬ援助者に恵まれるといった効果もあるでしょう。健康に不安を感じている人や、最近ストレスを感じている人は、なるべくこの方位で過ごしてみましょう。天医方位には、書斎玄関寝室リビングなどがあると運気がアップします。特に健康面で悩みを抱えている人は、この方位を寝室として使用してもいいでしよう。
延年(えんねん) / 中吉方位
和合・恋愛・結婚・協調
「延年」は結びつきと調和の中吉方位。ここにいると、思いがけずよい出会いにめぐまれたり、有益な情報が手に入ったりします。人の良い面が理解できるようになるので協調性も出てきます。コミュニケーションに自信がつき、満ちたりた日々が過ごせるようになるでしょう。人間関係が苦手な人は、なるべくこの方位で過ごしてみてはいかがでしょうか。ここに玄関があれば、人とのよい縁がもたらされます。縁結びの方位でもあるので、未婚の人がこの方位を利用すると、良縁に恵まれます。なかでも、寝室を延年方位にすれば、恋愛や結婚の運気がよりアップします。
伏位(ふくい) / 小吉方位
平和・不動・安定・地道・生育
「伏位」は、安定の小吉方位。ここにいると、地味ながら堅実に、物事が落ち着くようになります。運気が無風状態になるので、積極的になるよりも、受け身でいたほうがいいでしょう。夢や目標に向けて力を蓄えること。家族の絆を強くする効果もあるので、夫婦や親子、嫁姑の関係が悪いときなどに適しています。平穏無事に毎日を送りたいなら、リビングをこの方位に配して、長い時間過ごすこと。収入は多くはないものの、安定します。堅実さが持続する方位なので、着実な努力が必要な仕事や勉強をするのにも向いています。

凶方位

  • あなたの凶方位本命卦から求めましょう。
絶命(ぜつめい) / 最大凶方位
短命・病気・多災・破産・絶望
「絶命」は不幸やトラブルが多くなる最大凶の方位。ここにいると、物事の生命線を絶つような凶運に見舞われることが多くなります。暗い気分になって、猜疑心も強くなるでしょう。人を信じられないで、孤立することも。健康面でもトラブルが生まれやすく、病気やケガが長引いてしまう可能性も。すべてにおいて自己コントロールがきかなくなります。絶命方位は、できるだけ使わないに越したことはありません。この方位がバスルームキッチントイレなどの水回りになっていれば、これらの凶作用を水と一緒に排出することができるのでラッキーです。
五鬼(ごき) / 大凶方位
火災・事故・ケガ・過失・盗難
「五鬼」は怪しい魔の気が漂うという大凶方位。ちょっと説明のつかないようなオカルト現象などが起きるのも、この方位が多いようです。ここにいると、気分がイライラして、周囲との揉め事が多くなるでしょう。自分の言動に自信が持てず、すべての面において損ばかりするように。結果、自暴自棄になってしまうこともあるでしよう。また、この方位を使用する子供は、親不孝になるともいわれているので、できれば子供部屋にしない方がいいでしょう。この方位がトイレバスルームキッチンなどの水回りになっていれば良いのですが、それ以外に使うなら化殺が必要です。
六殺(ろくさつ) / 中凶方位
口舌・賭博・負債・多淫・不倫
「六殺」は精神力や自制心が弱まり、そのままだめになっていくという中凶方位。ここにいると、物事に対しての不平不満が募るようになるでしょう。自分の欲望を抑えることができない上に、嫉妬心も強まります。周囲とのトラブルも増えるはずです。不眠に悩まされることも多く、集中カも低下。小さなミスを犯しやすくなるので注意しましょう。感性もやや鈍くなります。職場でトラブルを起こし、リストラや左遷などの憂き目に遭わないように気をつけてください。この方位がキッチントイレバスルーム、収納スペースなどになっていれば、これらの凶作用は働かずラッキーです。
禍害(かがい) / 小凶方位
虚弱・自信喪失・減収・散財・不安
「禍害」は大きな災難はないが、毎日少しずつエネルギーが失われていく、じり貧の小凶方位。ここにいると、周囲からのトラブルが増えます。人から騙されたり、誤解を受けたりすることもあるでしょう。家族や友人のトラブルに巻きこまれることも。生活習慣が乱れやすく、体調管理がきちんとできなくなるでしょう。病気やケガをしやすくなって、健康運も低下していきます。この方位に大きなタンスや収納スペースがあって居室として使用しなかったり、キッチンバスルームトイレなどの水回りになっていれば、これらの凶作用は抑えられるのでラッキーです。

家の宅卦を調べましょう

人に方位の吉凶があるように、実は家にも方位の吉凶があります。これは、家そのものが持っている運気を表すもので、結果的に住んでいる人にも様々な影響を及ぼします。

人の方位の吉凶は本命卦で調べましたが、家の方位の場合は建物の向きから宅卦(たくか)を求めて調べます。

宅卦にも、本命卦と同じく八卦を用いた呼び名がつけられていて、乾宅(けんたく)・兌宅(だたく)・坤宅(こんたく)・艮宅(ごんたく)・坎宅(かんたく)・離宅(りたく)・震宅(しんたく)・巽宅(そんたく)と分類されています。

原則として本命卦宅卦は、人か家かの違いがあるだけで、方位の考え方は同じです。

建物の座向を決定しましょう

建物の向きは伝統風水の専門用語で座向(ざこう)と呼ばれます。(ざ)は建物の背面であり、(こう)は建物の正面です。

一般的には、正面は家の玄関ドアが向いている方角を指しますが、伝統風水においては玄関ドアの向きイコール正面方位というわけではありません。現代の家では玄関ドアが必ずしも正面方位とはならない場合が多々あります。

それでは、何を判断基準にするのでしょうか。それは陰陽の概念です。多くの家は活動的な空間が前にあり、静的な空間が後ろにあります。その活動的な空間を明堂(めいどう)と呼び、明堂の方位が正面方位=(こう)となることが多いです。

向方位の定義として考えられているものに次のようなものがあります。

  1. 最も大きな「陽の気」を生み出している場所―道路や商店街、または町を見渡せるような位置に面している方位。
  2. 前が開けていて眺めが得られる方位。バルコニーや大きな窓のあるリビング、眺めのよい中庭がある面ということになります。

通常の建物であれば、座方位に寝室や風呂など「重い」空間があり、向方位にリビングや客間など「軽い」空間があるはずです。オフィスであれば、座方位に社長室やクローゼットなどがあり、向方位にロビーや受付があるでしょう。

また、外壁も座向の判断材料になります。座方位は地味な壁面で何の装飾もありませんが、向方位には庭があり、座方位に比べ装飾が派手になされているはずです。

なお、マンションやアパートのユニット(各戸)の座向は、一戸建てとは違い、基本的にその建物全体のメインエントランスの方位で座向を決定します。ユニットごとに座向を決定するのではありません。

これはオフィスビルでも同じです。ビル一棟が自社ビルである場合はもちろん、そこにテナントとして入っている場合でも、そのビルのメインエントランスで方位を決定します。

建物の前後を確定して座向を決定することができたら、次のステップでは、よい方位磁石(コンパス)を手に入れて建物の方位を正確に測定し、記録します。

座向の方位を正しく測定しましょう

プロの風水師は特別な羅盤(らばん)と呼ばれる伝統風水の方位磁石を用いて方位を計測します。これは、古代からの法則の秘儀がたくさん詰まった、複雑で科学的な風水用ツールです。

羅盤

羅盤そのものは複雑でしかも高価なので買うのは次の機会を待つとして、一般の人はふつうの方位磁石でも十分代わりとして使えます。

方位を測定するときは建物のオープンスペース(明堂)に家を背にして平行して立ちます。

このとき、できるだけ家から離れて立つようにしてください。なぜなら金属物によって方位磁石の針がぶれてしまい、正確な方位を測定できなくなるからです。方位磁石の針は自動車やドアノブなどに敏感に反応しますので、注意が必要です。

方位磁石をお腹の位置で、水平になるように持ちます。ここで表示された方位を読み取ってください。自分のほうを向いている方位が、その180度反対側がです。

ここで求めたの方位によって、家の宅卦が決まります。

表A - 本命卦表
宅卦 坎宅 離宅 震宅 巽宅 乾宅 兌宅 坤宅 艮宅
西 北西 南東 北東 南西
南東 北西 西 南西 北東

たとえば、南向きの家なら、北に座している「坎宅」になります。

宅卦本命卦と同じように東四宅(坎宅・離宅・震宅・巽宅)と西四宅(乾宅・兌宅・坤宅・艮宅)に分けられ、本命卦が東四命の人は東四宅の家に、西四命の人は西四宅の家に住むのがいいと考えます。

ただ、ここでひとつ問題になってくるのが本命卦宅卦は必ずしも一致しないということ。吉凶方位が正反対になってしまうことも往々にしてあります。そんな場合には、原則として本命卦を優先して考えましょう。『八宅明鏡(はったくめいきょう)』では次のように説明してあります。

住宅には座と向があり、命に東と西がある。
住宅の向だけを考えて命を考えなければ大凶。
命を考えて住宅の向を考えないのは小凶。
命に合い住宅の座向に合えば永く福。

東四宅の吉凶方位盤

△は向の方位を、□は座の方位を示します。

西四宅の吉凶方位盤

△は向の方位を、□は座の方位を示します。

人と家の相性をチェックしましょう

本命卦宅卦を導き出したら、さっそく自分と家との相性をチェックしてみましょう。家族で住んでいる場合は、家長と家の相性を見ます。

表A - 東四命と宅卦の相性
東四命
東四宅
西四宅
表B - 西四命と宅卦の相性
西四命
東四宅
西四宅
この相性の家は心身ともに活力をみなぎらせる家。血液の流れをよくして、新陳代謝を促進し、免疫力を増強します。健康運や金運に適しています。最大吉
この相性の家は不老長寿となる家。また、やすらぎや安定をもたらすため、家族間の相互理解が深くなり、夫婦や子どもと円満に過ごせます。大吉
この相性の家は災難を避ける家。刺激にはやや欠けますが、家族そろって平穏な毎日を過ごすことができます。ただし、高望みするのは禁物です。中吉
この相性の家は個人の能力を開花させる家。好不調の波はありますが、家族が伸び伸びと成長していくことができ、各自の夢はほぼかないます。小吉
この相性の家はムダな出費、損失、落とし物、窃盗にあう家。特に金銭面でいまひとつツキがありません。基本的な生活管理を心がけましょう。小凶
この相性の家は争いごとや裏切りが起きやすい家。疑心暗鬼になり自分以外の人が信用できなくなります。家族間での隠し事はなくすようにしましょう。中凶
この相性の家はトラブルが多い家。裁判沙汰にまで発展するほどの事件に巻き込まれます。うまい話には耳を貸さないようにしましょう。大凶
この相性の家はあらゆる方面に対して悪影響を与える家。しまいには命取りになりかねません。機会があれば、迷わず引っ越しや改築をしましょう。最大凶