夢は未知なる世界との出会い
ユングはフロイトとは違った観点から夢を理解しようとしました。夢の劇的で情緒的な雰囲気は、なんらかの意味でコンプレックスと関係があるという点は、フロイトと同じです。しかし、このコンプレックスは、フロイトのいうように抑圧された性的な体験や、幼稚な願望からきているのではありません。
そういうものもあるかもしれないが、心の奥には、もっと普遍的で集合的な影響力を与えるアーキタイプがあり、このアーキタイプをとりまいて、コンプレックスが形成されるのだとユングは考えました。
したがって、夢がドラマティックなのは、ふれると感情が湧きあがるコンプレックスの中心にあるアーキタイプのせいであり、それは幼児的な性的願望や権力欲の他にも、小説や芸術や演劇のような高度に洗練された人間の創造の原動力にもなるものです。
ユングによれば、無意識は暗く妖しげな雰囲気をただよわせるものであり、たしかに抑圧された幼稚で不愉快なものも含んでいるが、その反面に、自分でも知らない末知の可能性をたくさんもっているのであって、したがって、その無意識の声を伝えるメッセンジャーであ る夢は、未知の世界との出会いなのです。